海原雄山はグルメ漫画「美味しんぼ」の主要キャラクターであり、主人公山岡士郎の父である。非常にアクの強い人物であり、特に「素直さ」という概念は完全に抜け落ちた人物となっている。
そんな雄山は長きに渡って息子の山岡と「グルメ対決」をし続けることになるが、今回はそんな対決の中で披露された「海原雄山の不条理な怒り」をクイズ形式で紹介すようと思う。基本的には1988年から放送されたTVアニメ版が元になっているので、原作の漫画を知っている人は、これをもとにクイズを量産できるものと思う。
ただ、クイズと言っても知らないとほぼ当たらないので、基本的には「ウミガメのスープ(水平思考クイズ)」という形式にして友達と遊ぶときに使うと良いと思う。その場合は「美味しんぼ」をしっている必要はまったくない。各話のあらすじも長めに書いておいたので、適宜省略して出題するのが良いと思う。
海原雄山の基本情報
年齢は明らかにされていないものの、極めて優れた陶芸家であり、有名な美食家である。また芸術分野に関しては、書道、絵画などにもその才能を発揮している。
雄山がなんとなく大事に扱われているのには「美食家」という側面もさることながら、優れた芸術家であることが大きく影響している。
モデルとされているのは北大路魯山人であり、魯山人が「星ヶ岡茶寮」を経営していたように、雄山も「美食倶楽部」という会員制の店を主催している。
主人公のであり実の息子である山岡士郎とは長年にわたり犬猿の仲であった。結局二人は和解に成功するが、そこに至るまでに単行本にして103巻を要し、連載にすると31年という長い時間が必要であった。。
そんな二人の不仲の主な原因は、雄山の妻に対する厳しい態度だった。アニメ版でも僅かに描写されたが見ていられるものではなかった。しかし、そんな雄山に反抗心を持っていた山岡が、栗田と結婚するや彼女の作る料理に平気な顔で文句をつけている姿には「血」を感じたね。
ただ幼少期の山岡に対しては、その才能をすぐさま見抜いて、料理に関するエリート教育を早くから施していたようである。
考えてみると、海原雄山にとって山岡との戦いは「失われた息子との時間」を取り戻すための戦いだったのかもしれない。結果的に色んなことを教えて上げていたしね。
海原雄山クイズ
第6話「幻の魚」より
海原雄山の怒りに至るあらすじ
発端
山岡の務める東西新聞の大原社主が、一年前に火事で営業中止を余儀なくされた懐石料理点「初山(はつやま)」の新装開店を記念した会食に招待された。大原は「究極のメニュー」作りを担当する山岡と栗田を連れ立つことを決める。
一方の天敵海原雄山も、当然「初山」の会に招待されていたのである。
会場についた雄山は、東西新聞の面々、特に山岡を発見するやいなや彼らを「山猿」呼ばわりし、不快感を全面に表した。
店主の仲介で事なきを得て始まった会食であったが、さすがの「初山」。会場に集った人々は、その料理に舌鼓をうっていた。
ちょうど刺し身が出されたタイミングで、「刺し身は何が一番うまいのか」という質問が美食家雄山に飛んだ。
雄山は、順位をつけることは出来ないという前提で、トラフグ、宮古のマグロ、明石のタイ、大島のシマアジ、寒の時期のヒラメが5本の指に入ると語った。
雄山の話に会場が感心しているなか、参加者の中では若い山岡に対して、店主が「どんなお刺身がお好みですか?」という他愛もない質問を投げかけた。山岡の返答は「サバ」であった。
その返答を聞くやいなや山岡を嘲笑する雄山。彼はサバを「下魚」と断じ、その刺し身が一番うまいと語る山岡を「山猿」呼び再び侮蔑する。さらに、雄山以外の出席者(東西新聞側も含む)も「サバ」という選択に極めて否定的な態度を示した。それは雄山の態度に煽られたものだったかもしれないが、少なくとも山岡は完全に「アウェイ」だった。
しかしそんな状況にはびくともしない山岡は、雄山に向かって「美食家と言いながら無知と偏見によって本当に美味しいものを知りもしないで」と抵抗を見せるのだった。
そこで雄山は「待ってました!」と言わんばかりに、山岡に対して彼が食べたというサバの刺身を持ってくるように畳み掛けた。雄山本人が味を見ようというのである。
山岡以外は、東西新聞の面々まで、「サバ」で勝負を仕掛けた彼の態度に否定的であった。
決戦
山岡は雄山の挑戦を受けるべく、かつて神奈川県の葉山で食べた「幻のサバ」を探すことにする。
ところがただでさえ「200匹に1匹」しか網にかからないサバである上に、その年は更に水揚げが減っており、入手は極めて困難な状態にあった。
そんな折、「一本釣り」という提案を受けた山岡は、沖に出て賢明にサバを釣るのであった。
全く「幻のサバ」にありつけなかった山岡だったが、不意に現れた名人四方さんの導きにより、最終的には栗田が幻のサバである「葉山の根付きのサバ」を釣り上げることに成功した。
ようやく「幻のサバ」を手に入れた山岡は、そのサバを初めて食べた店「大やま」で、雄山や大原社主らに刺し身を提供した。
大原をはじめ、山岡のサバを食べた人々は一同に感心し、「初山」で食べたマグロやシマアジとは比べ物にならないほどの旨さだと絶賛した。
そんな中、雄山だけがなにやら不満げな表情を浮かべ、結局大声を上げて山岡を非難し店を出ていった・・・
雄山クイズ
さ~てここからがクエッション!
食べた全員が絶賛した「葉山の根付きのサバ」であったが、雄山はどういう理由で山岡を非難したのでしょうか?
答え
さて皆さん、考えてみましたか?う~ん、おそらくあたってないんじゃないかな~。ということで、注目の答えは・・・
シマアジの刺し身が盛り付けられていた皿が気に入らなかったから。
つまりは「サバの刺し身は確かに美味かったが、相手が山岡であったためどうしても認めることが出来ず、器を理由にしてその場を去った」ということになるだろう。
見事な変化球でその場をしのいだわけだが、ここから雄山の可愛らしさが爆発する。
「器にケチをつける」という作戦に出たものだから、結果的には店を批判する形でその場を去ってしまった。その構造自体には反省の念があったようで、雄山はわざわざ自作の皿をその店に提供したのである。
雄山の皿だからそれはそれは素晴らしい値のつく一品ということになるわけだから、店側としては極めてラッキーだったとも言えるかもしれない。
ただ、そんなコトするくらいなら「美味しい」と一言いえば良いようなものだが、それをやらないのが海原雄山であり、彼の可愛らしさなのである。
第25話「ハンバーガーの要素」より
海原雄山の怒りに至るあらすじ
発端
海原雄山が主催する「美食倶楽部」には優秀な料理人が集まっている。
ある日のこと、そんな「美食倶楽部」で腕をふるっていた宇田という料理人が、雄山に「ハンバーガーショップをやりたいから美食倶楽部を辞めたい」と申し出た。
案の定雄山は「味覚音痴のアメリカ人の食べるようなもの」を作ろうとする宇田に激怒し、結果的に宇田を追い出してしまった。しかしそれは、才能豊かな宇田に対する期待の大きさゆえのことでもあった。
宇田は美食倶楽部での仕事に誇りを持ちながらも、それが一部の人のものになっていることに不満を持っていた。何よりも「大衆には味が分からない」という風潮に嫌気が指していたのである。
そこで宇田は、より多くの人に美味しいものを届けるために美食倶楽部を飛び出し、ハンバーガーショップを開店することを考えた。
ところが、もともとの専門が和食である宇田は、先輩の中川の仲介で山岡に相談を持ちかけることにした。山岡と栗田は宇田の考え方に共感し、喜んで協力すること約束してくれた。
現状を探るため、山岡たちと様々なンバーガーショップを調査した結果、牛肉のパテの質の低さ気付いた宇田は上物の牛肉を仕入れてた。牛肉以外にも良質な素材を集めた宇田は、「薄利多売」の覚悟でバーガー開発に動き出す。
意気揚々と作り上げた試作第一号を山岡と栗田に食べてもらった宇田だったが、どうにも感触は良くなかった。
更にそこへ海原雄山が現れる。中川からショップの開店が近いことを聞きつけた雄山は、わざわざそのバーガーの味を見に来たのだった。
これまた案の定というべきか、その評価は散々なもので「こんなものは売り物にならん!」と一蹴されてしまった。
しかも、山岡や栗田もその意見に同意していた。
決戦
山岡は、実際に宇田が作ったバーガーを一般の人にも食べてもらうことにしたが、その評価も散々なものだった。
実は宇田本人もなにやら違和感を覚えながらの試作であったのだが、それが何か分からずにいた。ただ、少なくとも「よくないもの」であることは確定したようだった。
その原因が分からずにいた宇田だったのだが、山岡は問題を看破していた。
宇田の作ったバーガーは、牛肉のパテの質が高すぎてバンズとのバランスが取れていなかったのである。すぐさま宇田のパテにあうバンズを探し出し、彼のバーガーが完成。試験販売での評判も上々であった。
そんな宇田のバーガーを、中川の取り計らいで雄山は再び食すことになる。
結果的に雄山は、「二度とこんなもの私の食卓に出すな!」、「アメリカ人好みのあさましい食い物だ。」と再び激怒してしまった・・・
雄山クイズ
さ~てここからがクエッション!
お客さんの評判も上々だった宇田のハンバーガーだが、雄山はどういう理由で再び激怒したのでしょうか?
答え
さて皆さん、考えてみましたか?う~ん、おそらくあたってないんじゃないかな~。ということで、注目の答えは・・・
ケチャップで手が汚れたから
今回も変化球で攻めてきた雄山くん。素直に「宇田も成長したな」と言えば良いものの、どうしても怒る理由を考えてしまうのである。そして再び雄山くんは可愛らしさを爆発させる。
雄山は、宇田が一年前に美食倶楽部でつけていたピクルスを宇田に送ったのである。もちろん宇田が漬けたのだから宇田のもののような気もするが、そのピクルスは本来美食倶楽部で利用するものであるし、もともと腕のいい宇田が漬けたものだから非常に質が高いのである。つまり、雄山としても手放したくない一品だった。
だた、そのことを中川に言いつける際にも、わざわざ調理場の冷蔵庫を開けて「中川これは何だ?こんなものは美食倶楽部の客の口に合わん!宇田に責任を取らせて始末せい!」とのたまうたのである。
素直に「このピクルスがあれば宇田のハンバーガーはより素晴らしいものになるだろう。私としては美食倶楽部で提供したかったが、祝儀として宇田に送って上げなさい」と言えば良いのだが、それをやらないのが海原雄山であり、彼の可愛らしさなのである。
でも、宇田にはキチンと雄山の思いが伝わってたよ!
第39話「牛肉の力」より
海原雄山の怒りに至るあらすじ
発端
天高く馬肥ゆる秋、山岡は資料室で雲を眺めていた。
そんな山岡のもとに「ナンバーワンスポーツ」とい雑誌の「食に焦点をあてたプロ野球の取材」という青山なる人物の企画が転がり込んでくる。スポーツ誌の人間はもちろんスポーツには詳しいが食には疎いということで、プロ野球の選手が食べている食を批評できる人物として、山岡に白羽の矢がたった。
雲を眺めることしかしていない山岡には断る手立てがなかった。また、取材先の高知と宮崎という場所の魅力もあり、山岡と栗田達はその仕事を受けることにした。
担当の青山と山岡たちは高知で「レパーズ」、宮崎で「メジャーズ」を取材した。だが、選手たちの食事を取材する中でわかったことは、選手たちは基本的に牛肉好きでソフトドリンクや菓子類の制限も全く受けていないということだった。
想像以上に食に気を使われていない状況に、「『戦う者』の食事ではない」という結論を出さざるを得なかった。
その事実を聞いた編集長は、その事実を「メジャーズ」のオーナーに伝えてほしいと願い出て、オーナーから招待されていた新装開店のステーキハウスにつれていくことにした(編集長はこの招待を受けて宮崎にいた)。このステーキハウスも「メジャーズ」のオーナーが経営するものだった。
そこには同じくオーナーから招待されていた海原雄山がいたのである(なんという運命!)。
ピリつく空気のなか、山岡は自分の考えをオーナーに伝えた。内容としては選手の食事の管理がチームとして全くなされていないことの批判であり「無知と怠慢」と言い放った。
山岡の言葉は強いものだったが、人の出来たオーナーはその現状を重く受け止め状況の改善を検討するに至った。
そして事件が発生する。
面倒な話のあとにようやく提供されたステーキが全く美味しくなかったのである。
それはそこにいたすべての人が感じたことであり、雄山と山岡もこの点に関しては同一意見であった。
この原因として山岡が指摘したのは、
- 牛の若さ
- 熟成の不足
- 飼料の質の低さ
の三点であった。
決戦
山岡の指摘したことはたしかに正しいことだったが、海原雄山は「それで終わりか」と山岡が最も重要な点を見をとしていることを指摘する。
山岡がそれを理解できていないよう様子を見た雄山は「明日牛を見に行くからついてくれば分かる」と山岡に伝えた。
翌日山岡達は雄山とともに牧場を訪れる。
雄山は「お前がどれくらい牛のことをわかっているか見てやる」と、目の前にいる出荷前の子牛の中から最良の一頭を選ぶよう山岡を挑発する。
山岡が賢明に選んだ一頭は、毛並み、骨格、目の輝きが良い最も健康的と思われる牛だった。
その選択にたいして雄山は「やはりお前はなにもわかっていない」と山岡の選択を一蹴した。
雄山クイズ
さ~てここからがクエッション!
健康的な子牛を適切に育て上げれば最良の食肉が得られるというのは理屈のような気もしますが、海原雄山本人は、どの牛を選ぶと山岡に語ったのでしょう?
答え
さて皆さん、考えてみましたか?う~ん、おそらくあたってないんじゃないかな~。ということで、注目の答えは・・・
この中からは選ばない
おいおい雄山くん、我が国ではそれを「出題ミス」というのではないかい?
一応雄山にも言い分はあって、最もうまい食肉となるのは子供を産んだことのない雌牛であるが、雄山が山岡に見せたのはすべて雄牛だったのである。雄山としてはその点を見破ってほしいという思いから出た出題だったことになる。
しかしだ、たとえ雄山の言うことを知っていたとしても、「この中から」と言われてすべて雄牛と分かれば「この雄牛の中で」と理解するのがホモ・サピエンスというものだろう。本来なら出題ミスを指摘して然るべきところである。
しかし今回山岡は中々に素直で、雄山への対抗意識から自分が雄雌の差を完全に失念していたことを恥じて、自らには野球選手達の食事をどうこういう資格はないと落胆するのだった。
今回はなんとも苦い終わり方で、雄山くんの可愛さは爆発していないような気もするがそうではない。今回は、山岡にステーキがおいしくなかった理由をわざわざ教えて上げているという事実が可愛らしいのだ。
本来なら店のオーナーにこっそり伝えてあげれば良いだけのことであって、山岡を牧場にまで連れ立つ必要はない。
雄山パパとしては、良い線まで言っているのに最後の一手を指しきれない山岡の状況が歯がゆかったのだろう。
もちろん一言伝えてあげれば良いだけのことで、山岡を試すようなことをする必要はない。でも雄山にとってはあの行動は、失われた息子との時間を取り戻す行動だったのかもしれない。はた迷惑であることに変わりはないけど。
第65話、第66話「究極のメニューVS至高のメニュー」より
海原雄山の説教に至るあらすじ
発端
それはいつもとかわらないはずの朝だった。
しかし、山岡を除く東西新聞の面々は、その状況に困惑していた。
東西新聞文化部ではかねてより「究極のメニュー」を作る企画を進めていた。白羽の矢が立ったのが山岡だったのが悪かったのか、その企画は遅々として進んでいなかった上に、企画の存在も小さく公表されているにすぎない状況だった。
そのような状況下、帝都新聞が「至高のメニュー」という企画を立ち上げたのだ。しかもその企画を海原雄山が全面的にバックアップされることが発表された。
企画そのものは東西新聞が早かったものの、「海原雄山」という名前のインパクトは極めて大きい上に、「至高のメニュー」が毎月発表されるとアナウンスされ、東西新聞の「究極のメニュー」は完全に「食われる」状態にあった。
文化部の編集部帳が責任を取って辞めるなどと言い出す中、社主の大原だけが帝都新聞に対する徹底した対抗意識を燃やしていた。
そもそも山岡は、帝都新聞のように「究極のメニュー」を小出しにすることは考えていなかった。それは社主大原も同様の考えだったのだが、一変した状況下、帝都新聞に対抗するためにも「究極のメニュー」を毎月発表し、その内容で帝都新聞を圧倒するよう山岡たちに命令を下す。
珍しく山岡もやる気をだし、徹底抗戦の様相を呈してきた。
挑戦
東西新聞の栗田は、社運をかけたその戦いにのめり込むあまり「美食倶楽部」で椀方(わんかた)を務める岡星良三に接触し「至高のメニュー」第一回の内容を探ろうと画策する。
良三は雄山を裏切れないと栗田を退けるが、かつて自分を救ってくれた(第20話「板前の条件」)栗田と雄山の間で板挟みになってしまう。
そんな状況を知ってか知らずか、雄山は良三を呼びつけて「至高のメニュー」第一回は卵を使った前菜であることを栗田に伝えるようにと良三に申し渡した。
これは海原雄山から山岡への挑戦状であった。
そして山岡士郎も、その挑戦に魂を燃え上がらせるのであった。
直接対決
東西新聞と帝都新聞が水面下で激しい戦いをする中で、「究極のメニュー」と「至高のメニュー」を一流の審査員に食べ比べしてもらおうという企画が「週刊タイム」から持ち上がった。
この勝負に負ければお互い大きなダメージを受けることになるが、東西新聞としてはリスクを承知でその勝負を受けるしかなかった。
山岡の作戦と雄山の選択
「卵を使った前菜」という挑戦を受けていた山岡が立てた作戦は「ゆで卵」であった。
黄身も白身も固まらない程度に軽く茹で、いわゆる「コンチネンタルスタイル」(カリオストロ伯爵が食べてたあれ)で設置、良質なトリュフのソースを絡めて食べるというものだった。
試食会では極めて好評で、「究極のメニュー」のなお関する前菜としては申し分ないように思われた。
そして紙面上での決戦が行われる日曜日。帝都新聞が見開きを使って出してきた「至高のメニュー」は「卵の黄身の味噌漬け」であった。
東西新聞の面々としてはそのありふれた料理に少々困惑していた。
山岡でさえも自分の決意と費やした時間を思い「馬鹿にしている」と憤慨するのであった。
そしてこの事実は、東西新聞側に、試食会での勝利を確信させるものでもあった。
決戦
翌月曜日。
試食会(食べ比べ)での山岡のゆで卵の反応は予定通り極めて上々であった。山岡を始め大原社主も、勝利は揺るがないと再度の確信を得ていた。それでもなお、雄山は不敵な笑みを浮かべていた。
そして運ばれてくる「卵の黄身の味噌漬け」
それを一口食べるやいなや、試食会の空気は一変。
それまでの「お祭りモード」から「真剣モード」にすべての人がスイッチを余儀なくされ、自分たちが口にしたものが「一段回違うなにか」であることを噛み締めさせられる状況になってしまった。
たった一口で勝敗は決まったのである。
そして、自分たちが口にした「卵の黄身の味噌漬け」の秘密をそれぞれが探りだす。すでに山岡が出したゆで卵のことを覚えているものなどいなかった。
それは山岡本人も同様で、「味噌漬け」の秘密を賢明に探っていた。しかし、山岡を持ってしても、その味噌漬けの秘密が分からず、ついには海原雄山にその秘密を尋ねるに至った。
それは取りも直さず雄山に対して負けを認めることであり、山岡としては屈辱的なことであった。
それでもなお真実を知りたい山岡は、雄山に教えを請うたのだった。
卵の秘密
秘密の一つは味噌であった。
その味噌に使われている大豆、そして漬けられた年数を計算に入れ、味噌漬けを作るに最適な合わせ味噌を調合した。
しかし、決定的な秘密は卵そのものにあった。
卵生んだ鶏の品種は平飼いの後藤130。当然飼料もこだわったものであった。そして何より、今回の対決で使ったのは「初卵(鶏が初めて生んだ卵)」であった。
雄山は続けて「鶏の初卵には、ヒヨコの時から蓄積されてきた栄養素の中でも価値のあるものが含まれている」という「説」を語った。
これに対して山岡は、科学的根拠に乏しい迷信で、不用意な神格化であると激しく断じた。
実は雄山もそのことには自覚的で、別にその迷信を信じて初卵を使った訳ではなかった。
雄山がそこから初卵を用いた理由を説明するのだが・・・
雄山クイズ
さ~てここからがクエッション!
試食会の空気を一変させた「卵の黄身の味噌漬け」だったが、その秘密であった後藤130の初卵。わざわざ披露した迷信を信じた訳ではなかった雄山だが、ではどうして初卵をつかったのでしょうか?
答え
さて皆さん、考えてみましたか?う~ん、おそらくあたってないんじゃないかな~。ということで、注目の答えは・・・
初卵を取れるくらいに徹底管理された状況そのものに価値があるから
今回はちょいと分かりにくいかと思うが、雄山本人がそれなりに解説をしてくれている。基本的には「初卵」なるものを手に入れる為にはどうすれば良いのかを考えればよということになる。
そもそも今回利用した鶏は「平飼い」で育てられている。その状況で初卵を手に入れようと知れば、生産者は一羽一羽の鶏を一日中注意深く観察していなくてはならない。
結果的に、そのように注意深く育てられた鶏の卵は初卵であろうとなかろうと美味しいに決まっているというのである。
このことを指摘された山岡その敗北感にうなだれてしまった。
・・・だけどさ、「注意深く育てられた鶏の卵は初卵であろうとなかろうと美味しいに決まっている」ってそれを迷信と言わないかい?せめて、「実際に食べてその歴然とした差に驚愕した」と言ってくれれば良いのだが「美味しいに決まっている」というのは理由になっているようには思えないし、今回の勝利は単なる偶然と思いたくなってしまう。
そもそも「素材の勝利」を「料理の勝利」として良いものかという問題すら生じるのだ。
実際試食会で唐山陶人がそのことを指摘し、雄山の卵を使って山岡はリベンジをすることになった。
結果的に山岡は「ゆで卵のトリュフソース改」を作り上げ、「引き分け」という結果を手に入れた。
今回は雄山のワンサイドゲームであったがゆえに、彼らしい可愛らしさがあまり出てこなかったが、唯一あるとすれば、山岡にリベンジのチャンスを与えたことになるかね。結局「勝ち逃げ」できるような性格の人ではないのだろうし、どうせ親子対決で勝つなら完璧に勝ちたいと思ったのかもしれない。
この話のラストは海原雄山の「士郎め・・・」という心の声で締めくくられる。この「士郎め」の後にはどんな言葉が本来続くはずだったのだろうか?おそらく・・・「よく考えたな」だろうね。
やっぱりこっちの方が、雄山のかわいいポイントだったかな。
続いては番外編として、「雄山の怒り」ではないもののとある登場人物の「不条理な怒り」を問題にしようと思う。その「怒り」が描かれたのは第30話「ビールと枝豆」である。
番外編:第30話「ビールと枝豆」より
不条理な怒りに至るあらすじ
発端
一日の業務を終えてアフターファイブの山岡一行。その日は山岡の知る「ビールつぎの名人」が居るビアホールに向かっていた。
ビールも注ぎ方一つで味が変わると言い張る山岡だったのだが、実際にビアホールで注文したビールにはなにやら不満げであった。
山岡はそのビールがお目当ての職人盛沢が注いだものではないことにすぐさま気づいたのだが、盛沢はすでにその店をやめてしまっていたことが分かる。それにはなにやら新しいオーナー仁野が絡んでいるようだった。
どうしても気になった山岡は、盛沢のもとを訪ねる。
すると盛沢は店をやめたどころか、完全に業界から引退し、北海道で新たな人生を始める手筈を整えていた。盛沢の決断にオーナーの仁野が絡んでいると革新していた山岡は、オーナーとの間に起きたことを尋ねる。盛沢が語ってくれたことはたったの一言、
ということだけだった。
これ以上深入りすべきではないとは思いつつも、どうしても気に入らない山岡は仁野に直接話しを聞くことにする。
顛末
オーナー仁野に直接会うことに成功した山岡だったが、仁野は盛沢に対して完全に怒り狂っていた。「盛沢の人格に関わることだから話したくはないが」という前置きが必要なほど、盛沢のしたことは仁野にとっては許しがたいことだった。
仁野の口から語られた事実はつぎのようなものだった:
ホテルやレストランの買収を進めていた仁野だったが、ビールつぎの名人がいるという盛沢が努めていたビアホールの買収にも成功する。
企業買収を進める仁野の評判は必ずしも良いものではなかったが、「お客様第一」という信念のもとに仕事を進めていた仁野にとって、最高のビールを提供するビアホールはとても魅力的なものであったのだ。
そして買収後、仁野はわざわざ名人盛沢に会いに行き、新装開店第一号の客として盛沢の注ぐビール飲む栄誉に預かりたいという旨を伝える。
盛沢本人もその申し出を喜び、盛沢は仁野が好きだという枝豆も最高峰のものを取り寄せ、もてなしの準備を進めていた。
そして事件当日。
約束通り新装開店第一号の客として店を訪れた仁野のもとに、盛沢が注いだビールと枝豆が提供された。
盛沢の注いだビールは噂通りに最高の状態だったが、盛沢が取り寄せた枝豆に手を伸ばした仁野は、その有り様に激怒したのだった
仁野オーナークイズ
さ~てここからがクエッション!
盛沢本人は心の底からオーナーを歓迎し最高のもてなしをしたつもりだったが、オーナー仁野は何故激怒したのでしょうか?もちろんヒントは「枝豆」です。
答え
さて皆さん、考えてみましたか?う~ん、おそらくあたってないんじゃないかな~。ということで、注目の答えは・・・
黒い豆の枝豆を腐った枝豆と勘違いしたから
いや~、時代性というものでしょうか。今ならそんな枝豆が出てきたからと言って怒らないかもしれないが、残念ながら仁野は激怒してしまった。ただ、同情の余地もある。この事件はそもそも、仁野の中にある鬱屈した思いも背景にあったようだ。
企業買収、あるいは他人の会社の乗っ取りを進める仁野は、決して評判の良い人物ではなかった。周りの人間は「もうかるものなら何にでも食らいつくダボハゼ」と呼ばれていたし、買収した企業の中には必ず仁野に対する敵意を持つものがいた。
そういう状況にさらされて、疑心暗鬼の仁野であったがゆえに、黒い枝豆がを見た瞬間に「盛沢おまえもか!」と直情的に怒ってしまったのだろう。
にしてもだ。普通なら「こういうものもあるのか!」と思いそうなものだし、盛沢も一言「違うんですオーナー、この枝豆はこういうものなんです!丹波名物の黒大豆の枝豆なんです!」と言えば良かったようにも思われる。
まあ、盛沢も長いキャリアを持つ一流の職人であるがゆえに、必然的なプライドを持ち合わせていたはずで、それを真っ向から、聞く耳も持たずに否定されれば、わざわざ訂正する気も起きなかったのかもしれない。
結局はプライドVSプライドという構造によって発生してしまった悲劇と言えるかもしれない。
ただ、最終的には山岡の導きで、仁野が件の枝豆を知ることとなり二人のいざこざは解決し、盛沢はもとのビアホールに復帰したのだった。そればかりか盛沢はビアホールの支配人に昇格していた。それでも盛沢は自分でビールを注ぎ続けていた。
以上で「雄山クイズ」は終了です。原作を用いればいくらでも問題は増やせると思いますので、みなさんもぜひとも雄山クイズを作って見てください。
やってみると結構難しかったでしょ?
この記事を書いた人
最新記事
- 2024年11月14日
「ポチップ」をなんとか「Classic Editor」で使う方法 - 2024年11月13日
【GA4】Google Analytics 4の遅延読み込み用JavaScript - 2024年11月12日
【jQueryなし】表示された画像をふわっとフェードインさせる方法 - 2024年11月8日
【JIN】WordPressの<p>タグや<br>タグの自動挿入を停止してブログカードの機能を維持する方法 - 2024年11月7日
【jQueryなし】Youtubeの埋め込み動画を遅延読込してふわっとフェードインさせる方法