「ハウルの動く城」は2004年に公開された宮崎駿監督による劇場用アニメーション作品である。
今回は本編中に登場した個人的名言、名台詞を集めてみた。また、名言や名台詞は通常とは異なる言い回しが用いられることも多く「英語でどう言ってるんだろう?」と疑問に思ったことがあったので、英語表現についても調べてみた。ちなみに「ハウルの動く城」の英題は・・・
である。
*以下の英語表現は市販のBlu-rayの字幕をもとにしています(吹替版も一部参考にしています)。
「ハウルの動く城」の名言、名台詞と英語表現
ハウルの名言、名台詞と英語表現
「やあ、ごめんごめん。探したよ」
Hey, there, I’m sorry. Where’ve you been?
一見すると単なるナンパな男の軽口だが、物語の終盤にソフィーが叫んだ「未来で待ってて!」に構造上こたえている事になっていてなんともロマンチックである。
ただ、そのことを知ることのできるのはソフィーのみであり、ハウルはなぜあんなことを口走ってしまったのか永遠に知ることはない。美しきハウルに一番最初につばを付けたのは実のところソフィーだったということである。
英語表現としては「Hey there」だろうか。「スターウォーズ」に登場するオビワンもよく「Hallow there」を使っていたが、なぜ「there」がつくのだろうかなどと疑問に思ってはいけない。使っている本人たちだってなぜ「there」と行っているかわかっているはずもないのだから。とにかく軽い挨拶として「~ there」ということがあるのだと思っておくべきだろう。
吹替版では「There you are sweetheart. Sorry, honey, I was looking everywhere for you.」となっており、より日本語版に近いものとなっている。
「もう終わりだ、美しくなかったら生きていたって仕方がない」
I’m done for. What’s the point in living, if you aren’t beautiful.
ハウルのナルシストな一面がうかがえるセリフのようではあるのだが、そんなに「美しい」ということに価値を見出しているなら「動く城」をもう少しなんとかしろよとも思ってしまう。
ただ、あの「動く城」の醜さが、ハウルという人物の真実というか内面の幼さ、無責任さといった彼のもつ「よろしくない性質」の象徴と考えると、ハウルはそんなくだらない自分に気づいており、だからこそ見た目の美しさがなければ自分なんか死んだほうが良いと考えてしまうのだろうとも思える。
生きるということは誠に辛いものである。
英語表現としては「I’m done for」だろう。通常知っておく必要のある表現ではないが「終わった!」とか「万事休す!」といった意味になる。
吹替版では「I give up. I see no point in living if I can’t be beautiful.」となっていた。
「何故? 僕はもう十分逃げた。ようやく守らなければならないものができたんだ。君だ」
I’m through running away. I’ve finally found someone I want to protect… You
いや~、なんとも美しい愛の告白である。
結局男なんて誰かのために生きていないとふらふらとままならない存在なのだろう。
ハウルは荒地の魔女を始め、多くの人々から追いかけられ「絶対に捕獲されてなるものか!」と逃げ回っていたのだが、結局「捕獲される喜び」を知って年貢を納めたことになる。
なんとも羨ましい話である。
英語表現としては特に面白いものはなかったが、吹替版では「Sorry, I’ve enough running away, Sophie. Now I’ve got something I want to protect. It’s you.」となっていた。
ソフィーの名言、名台詞と英語表現
「あたしなんか美しかったことなんて一度もないわ!!」
I’ve never once been beautiful!
私の目には十分美人に見えるのだが、どうやらソフィーの自意識としては「美しかったことなどなかった」ようである。嫌味だろうか。
英語表現としては特に面白いところはない。吹替版もほとんど同じで「I’ve never once been beautiful in my entire life.」となっていた。
「ハウルに心がないですって? 確かに、わがままで臆病で、何を考えているか分からないわ。でもあのひとはまっすぐよ。自由に生きたいだけ。ハウルは来ません。魔王にもなりません。悪魔とのことは、きっと自分で何とかします。私はそう信じます!」
You call Howl heartless! Yes, He’s selfish and cowardly and unpredictable. But he’s straight as an arrow. He only wants to be free. Howl won’t turn into an evil monster. He’ll battle the demon on his own. I believe in him.
「ようやく守らなければならないものができたんだ」がハウルの愛の告白ならば、このセリフこそがソフィーの愛の告白だっただろう。
ただ・・・すげぇ長ぇ愛の告白だ。そしてまどろっこしい。
どうしてこんなまどろっこしい愛の告白をする羽目になったかを考えると、「ハウルの過去を知る女」が目の前に現れたからだろう。ソフィーとしては「自分のほうがハウルを分かっている!」とどうしても訴えたかった。そんな乙女心がこの長台詞を生んだ。私にはそう思える。
英語表現としては特に面白いと思えるものはなかった。吹替版では「Howl would never be so heartless. He may be selfish and cowardly and sometimes he’s hard to understand, but his intentions are good. He just wants to be free. Howl won’t come here. He doesn’t need your help. He convicts his problem with demon on his own. I’m certain of it.」となっていた。
「未来で待っててー!」
Wait for me in the future!
なんとも印象的なセリフだが、結果的にハウルがソフィーと奇跡の再会を果たしたことを考えると、この言葉ほとんど呪いのような効力をもっていたとうことになるだろう。なんとも恐ろしい話である。
英語表現としては特に面白いものはなかったが、吹替版の方では「Find me in the future!」となっていた。
マルクルの名言、名台詞と英語表現
「待たれよ」
Stand by!
この言葉にニヤッとしたのは私だけではないはず。
マルクルの「またれよ」が来るまで、この作品はある種の緊張状態が続いている。老婆になったことを自覚したソフィーの姿もコミカルに描かれてはいるが、状況そのものは深刻である。手放しにニヤつけるのはこのシーンが最初だったと思う。
この辺のさじ加減が宮崎駿の天才性の一つだろう。我々は宮崎駿が我々をクスッとさせようとさせているシーンで十中八九笑ってしまう。そしてそれが絶妙な閑話休題となり、結果として物語への没入感を深めてくれるのである。
そういう意味でマルクルはとても大事なキャラクターだったと言えるだろう。
英語表現としてはなんにも面白いところはない。我々は「またれよ」というセリフと神木隆之介さんの演技でくすっと来たわけだが、英語版で笑った人はいたのだろうか?吹き替えでも「Stand by」となっていた。
「ソフィー、行かないで!僕、ソフィーが好きだ!ここにいて!」
Don’t go Sophie! I love you, Sophie. Please stay
ソフィーが自覚的に捕獲したのはハウルだけだったかもしれないが、結果的にソフィーは「動く城」に関わった人物をすべて捕獲しきっている。マルクルも例にもれなかった。
ハウルはそれこそ「パートナー」だから良いのだが、最終的には「飛ぶ城」となった住処にいながらマルクルはどんな人生を歩むのだろう。「嗚呼、あれが俺の初恋だったのだな」といつか「飛ぶ城」を出て行く日が来るのだろうか。
そういった切なさもはらんでいるところが「ハウルの動く城」の面白さかもしれない。
英語表現としては特に面白いものはなかった。吹替版では「Don’t leave Sophie. I love you. You have to stay.」となっていた。
カブの名言、名台詞と英語表現
「心変わりは人の世の常と申しますから。」
“A fickle heart is the only constant in this world”
ず~っと謎の存在だったカブが、隣国の王子だとわかったと同時に放ったセリフ。ここまで来ると「ハウルと動く城」は「少女漫画だ!」と気がつく。
自分の状況や人生に漠然とした不満を持ったソフィーのもとに美しき青年ハウルが突如現れ、夢のような状況を体験させてくれる。
この英語表現は原作でもそのまま使われているようである。「fickle」は「気まぐれ」とか「飽きっぽい」という意味となっている。吹替版では「One thing you can always count on is that hearts change」となっていた。
国王の名言、名台詞と英語表現
「さ~りま~ん。いよいよ決戦だぞ~!今度こそ叩きのめしてやる!」
Suliman! This is the final battle. This time, we’ll beat them to a pulp.
登場はほんの数十秒で、セリフと言えばこれくらいなのだが、これだけで「ああ~この戦争は泥沼化するんだな~」という絶望を与えてくれた。なんとも無邪気な国王である。
英語表現としては「beat ~ to (a) pulp」だろう。直接的な意味としては「~を粉砕して粉々にする」ということになるが、「~」に人が入ると「叩きのめす」と言った意味になる。吹替版では「I’ve got a new battle plan. This time, we’re going to beat the to a pulp」となっていた。
この記事で使用した画像は「スタジオジブリ作品静止画」の画像です。
この記事を書いた人
最新記事
- 2024年11月28日
【Click Tracker S】指定したクラスを持つリンクのクリックを追跡するWPプラグイン - 2024年11月27日
【火垂るの墓】登場人物&声優一覧とキャラクター考察 - 2024年11月14日
「ポチップ」をなんとか「Classic Editor」で使う方法 - 2024年11月13日
【GA4】Google Analytics 4の遅延読み込み用JavaScript - 2024年11月12日
【jQueryなし】表示された画像をふわっとフェードインさせる方法