「ハウルの動く城」は2004年に公開された宮崎駿監督による劇場用アニメーション作品である。
今回は「ハウルの動く城」の登場人物と声優を振り返りながら、それぞれの魅力や物語について考えていこうと思う。「ハウルの動く城」の登場人物はどんな人々だったのだろうか?
以下の文章では不意にネタバレが挟まれますので、その点はご注意ください。
「ハウルの動く城」の主要登場人物&声優一覧
名前 | 年齢 | 声優 |
---|---|---|
ハウル | 27歳 | 木村拓哉 |
ソフィー | 18歳(90歳) | 倍賞千恵子 |
荒地の魔女 | ? | 美輪明宏 |
カルシファー | ? | 我修院達也 |
マルクル | ?[1] | 神木隆之介 |
カブ | ? | 大泉洋 |
サリマン | ? | 加藤治子 |
ヒン | ? | 原田大二郎 |
- [1]
- 原作においては15歳。本編でもっと幼く見える。
登場人物と声優の基本情報とキャラクター考察
ハウル|声優:木村拓哉
ハウルの基本情報
物語の主人公。優れた魔法使いにして、美しい容姿も兼ね備えている。
ハウルは「動く城」を住処としており、そこでカルシファー、マルクルらと共同生活を送っている。
ただ、「城」と言ってもその外観はガラクタの寄せ集めのような醜さであり、ハウルの外見の美しさからはかけ離れたものとなっている。
それは結局、ハウルの内面の真実が寄せ集めのガラクタとしての「動く城」に象徴されていることになるだろう。
つまり、彼にはなにか信念を持って生きているというわけでもなく、肥大化した「動く城」のように自分を虚飾で飾り、あらゆる責任から逃げようとしているわけである。
そういう根本的な無責任さ、あるいはいい加減さが「荒地の魔女のつきまとわれる」という悲劇を生んだことになる。興味本位でちょっかい出して「それまで」、とはいかなかった。まあ、あんなのにつきまとわれるハウルにはわずかに同情はするが、自業自得である。
そんなハウルにとってソフィーの出現は大きな福音であっただろう。彼はようやく生きる目的、意味を手に入れたことになるだろう。
そしてそんな中、物語の最後にうつる「動く城」は、僅かな醜悪さは残しているものの、無駄な虚飾が剥ぎ取られ、極めて機能的な姿を見せており、根本的に何かが変わったことを示唆している。
物語のラストでは、カルシファーを奴隷のように使うことはできないので、ハウル、ソフィー、カルシファーたち3人の力を出し合って動いているということだろうか?
いずれにせよ、整理整頓された城の様子はソフィーの意向が強く反映したものと思われる。
結局のところ「色男のハウルが、冴えない女の子に捕獲された物語」とまとめることもできるのだが、ソフィーに捕獲されたのはハウルばかりではない。このことについては以下の記事でまとめている:
なんとも恐ろしい女性である。
声優の木村拓哉さん
声を担当したのは俳優の木村拓哉さん。公開当時はこのキャスティングに関して賛否があったと記憶しているが、映画を見終わった人からは概ね好評だったと記憶している。私もハマり役だったと思う。
ソフィー|声優:倍賞千恵子
ソフィーの基本情報
物語のもう一人の主人公(というかどう考えてもこちらが主人公)。父から受け継いだ帽子屋を営んでいる(名目上の経営者は義理の母)。
なにか特段の不満を抱えているわけではないものの、何か満たされない感情を抱きながら生活している。
そんなソフィーは、ハウル出会ってしまったがゆえに「荒地の魔女」から逆恨みというか逆嫉妬を食らってしまい、老婆の姿にかえられてしまう(全部ハウルが悪い)。
そんな状況に一瞬たじろぎながらも、奇跡的なスピードで状況を飲み込み、ハウルのもとへ赴くことを決断する。
その後ソフィーが不意に若返ることを繰り返しながら物語は進むのだが「そのトリガーは何か?」ということを考えながら見るのも一つの楽しみだろ。個人的な見解は以下の記事でまとめている:
皆さんはどのように考えるだろうか。
声優の倍賞千恵子さん
声を担当したのは女優の倍賞千恵子さん。私としては「男はつらいよ」のさくら役で強烈に記憶に残っている方である。
木村拓哉さんのキャスティングに関しても物議を醸したが、賠償さんについても賛否があったと覚えている。木村さんのキャスティングにかんしては、映画を見た人は概ね良い感想を持っていたと思うが、賠償さんに関しては「ソフィーはなかったな」という意見が少なくとも私の周りでは多かった。
私としては「賠償さんお見事!」と思ったのだが、今でも少数派なのだろうか?
荒地の魔女|声優:美輪明宏
荒地の魔女の基本情報
かつてハウルから「ちょっかいを出されたこと」がきっかけで、執拗にハウルをつけ狙う魔女。
この「ちょっかい」とは何かということなのだが・・・プロデューサーの鈴木敏夫いわく、ハウルの初体験の相手だそうな。
ハウルが初体験の相手を忘れられないと言うならよくある話かもしれないが、それを奪った荒地の魔女のほうがハウルを忘れられないというのだから、当時から美しい青年(少年?)だったのだろう。
そして何より、あの荒地の魔女にもハウルがちょっかいを出したくなるような時期があったということが大事ことだろう。
そうだよな?ハウル?俺は信じてるぞ。
声優の美輪明宏さん
声を担当したのは職業不定美輪明宏さん。もはや肩書が何なのかそもそも人間なのかも分からない不思議人物である。
ジブリ作品では「もののけ姫」のモロ役を好演している。今回の荒地の魔女はあまりにもハマり役だった。キャラクターデザインの段階から美輪明宏をイメージしていたのかもしれない。
カルシファー|声優:我修院達也
カルシファーの基本情報
ハウルと契約を交わしたことによって「動く城」の動力源にされている炎の妖精。
本人としてはこき使われていることに不満-あたりまえだが-らしく、ソフィーを騙して逃げ出そうとしている。
物語の終盤に、その正体、というかハウルとの契約内容が明らかとなり、ハウルはなんと心臓を差し出していたことが明らかになった。
しかも…カルシファーにカルシファーという名を与えたのもソフィーであることがわかった。
物語の序盤でハウルが「カルシファーがよく言うことを聞いたね。」と言っていたが、そういったからくりとなっていた。
「ハウルの動く城」には、そういったタイムリープものの要素が含まれているのである。
声優の我修院達也さん
声を担当したのは我修院達也さん。一度見たら二度と忘れることのできないルックスの個性は俳優さんである。
ジブリ作品では「千と千尋の神隠し」の青蛙も担当している。
マルクル|声優:神木隆之介
マルクルの基本情報
ハウルの「動く城」の同居人。少なくとも本編では同居するいきさつは明かされていないが、本編から推察するに「戦災孤児」であろうか。
そんなマルクルも僅かに魔法の心得があるようで、物語の序盤で老人の姿に変身するようすが描かれている。
声優の神木隆之介さん
声を担当したのは俳優の神木隆之介さん。映画、ドラマに多数出演し、声優業もこなす今や「どこにでもいる人」となっている。
声優デビューもおなじジブリ作品「千と千尋の神隠し」の坊役であった。きっとこの人はずっとなんでもやり続けるのだろうな。
カブ|声優:大泉洋
カブの基本情報
物語の序盤から登場したなぞのカカシ。
登場時からなにやらソフィーを気に入っている様子だったが、最後の最後の最後でようやく隣国の王子であったことが明らかになった。
どうもサリマンの手によってカカシにされていたようで、隣国の王子を人質にとっていたとうことらしい。だが、そうなるとなぜカカシはあんな訳のわからないところにいたのだろう?まあ、サリマンにとっては国のどこにいてもおなじということだったのかもしれないが、この辺はいまだに疑問である。
声優の大泉洋さん
声を担当したのは俳優の大泉洋さん。「水曜どうでしょう」の本放送時から応援しているが、今やただのビックスターである。
アニメーションの声優もいくつか担当しており、「千と千尋の神隠し」の番台蛙、「茄子 アンダルシアの夏」の主人公ぺぺなどを担当している。「レイトン教授シリーズ」のレイトン教授の声も担当している。
サリマン|声優:加藤治子
サリマンの基本情報
ハウルの師匠で魔法学校の校長。極めて優秀な魔法使いであり、王室付き魔法使いでもある。
初登場から最後まで、ほとんど表情を変えないポーカーフェイスな人物だが、その腹では何を考えているか分からない人物でもある。
荒地の魔女どうようにハウルを欲しており、自分の右腕として働いてほしいと願っている。やはりハウルは優秀な魔法使いなのだろう。
声優の加藤治子さん
声を担当したのは女優の加藤治子さん。私にとってはすでにお年をめした女優さんだったが、いずれにせよテレビドラマで無限回お目にかかることができた方である。サリマンの声を聞いたときに不思議な懐かしさがあったのも全くもっての必然であった。
ヒン|声優:原田大二郎
ヒンの基本情報
ソフィーがハウルの代理としてサリマンのもとを訪れたときから何故かついてきた犬。
その正体はサリマンのスパイだったが、結局ソフィーに捕獲され、「動く城」の住人となってしまった。
声優の原田大二郎さん
「ハウルの動く城」の声の出演で「原田大二郎」の名前を見てビビったのは私だけではないだろう。ヒンだぜヒン。どういう経緯で原田大二郎に行き着いて、どういう発注をし、アフレコはどういう形で進んだのだろう?全くもってなぞである。ただ、非常にいい演技をしていたと思う。すごいよね。
小姓|声優:伊嵜充則、保村真
小姓の基本情報
サリマンお付きの小姓たち。おそらくは魔法使いなのだろう。
何故か同じ顔をしているが、あれは少年期のハウルの姿だったのではと邪推する(髪の色は違うだろうが)。
結局サリマンも荒地の魔女同様「男としてのハウル」を忘れられずにいるのかもしれない。
声優の伊嵜充則さんと保村真さん
声を担当したのは伊嵜充則さんと保村真さん。
伊嵜充則さんは80年代の終わりから多くのドラマ、映画に出演した俳優さんであり、私も子供の頃から何度も見た記憶がある。
保村真さんは2000年代から多数の作品で声を担当している。
国王|声優:大塚明夫
国王の基本情報
登場したその瞬間から「コイツのせいか~」と思わせてくれた国王。
非常に無邪気な雰囲気を漂わせているが、彼の人間性がほんの少し違っただけで、戦争の状況はまったく変わっていたに違いない。
声優の大塚明夫さん
声を担当したのは皆さんご存知大塚明夫さん。多くのアニメーション作品で声を担当しているが、個人的に思い出に残っているのは「ふしぎの海のナディア」のネモ船長、「モンタナ・ジョーンズ」のモンタナ、「白鯨伝説」のエイハブ、「攻殻機動隊」のバトー、「機動戦士ガンダム0083」のガトーなどといったところである。
主役ないしは主役級の声を歴任しており、声優界の生きる伝説であろう。さらに2021年からは50年以上にわたり次元大介を演じていた小林清志さんに変わり、声優を担当している。
レティー|声優:香月弥生
レティーの基本情報
街のカフェで働くソフィーの妹。店の看板娘でもある。
ソフィーとは正反対な見た目で非常に派手である。ただ、それが本人の望むものとは限らない。
「看板娘」という自分を割り切って演じきれる妹と、自分を曲げられないソフィーという対比がそこにあったと思うこともできる。
真実はどこにあるだろうか。
声優の香月弥生さん
声を担当したのは香月弥生さん。アニメーションの声優としては「もののけ姫」のキヨ(間違ってアシタカを撃っちゃった人)も担当している。
ハニー|声優:八十川真由野
ハニーの基本情報
ソフィーの義理の母。レティーによく似てはいるが、血の繋がりはない。ソフィーの帽子屋の形式的な経営者である。
店の経営をソフィーに任せきりにして遊び歩いているようだが・・・人がそんなふうになってしまうのはなにか満たされない思いがあるからである。
考えてみよう、帽子屋の夫と結婚したからといって自分には帽子のことはわからないし経営などしたこともない。それでも夫が存命ならできることはあったかもしれないが、そうでなくなったらいよいよ自分にできることはない。それなら色々知っている長女に任せようと思うのも無理はないだろう。
ある意味でハニーとソフィーは表裏一体の存在であり、その不満と逃げ道が表面上異なっていただけだったのだろう。
つまり、人には色々あるってことさ。
声優の八十川真由野さん
声を担当したのは声優の八十川真由野さん。海外ドラマや映画の吹き替えを多数担当している。
「ハウルの動く城」英語版声優一覧
キャラクター名 | 声優 |
---|---|
ハウル | クリスチャン・ベール |
ソフィー | エミリー・モーティマー(若いソフィー)、、ジーン・シモンズ(老婆のソフィー) |
荒地の魔女 | ローラン・バコール |
カルシファー | ビリー・クリスタル |
マルクル | ジョシュ・ハッチャーソン |
サリマン | ブライス・ダナー |
レティー | ジェナ・マローン |
ハニー | マリ・デヴォン |
カブ | クリスピン・フリーマン |
国王 | Mark Silverman |
ヒン | ディー・ブラッドリー・ベイカー |
この記事で使用した画像は「スタジオジブリ作品静止画」の画像です。
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