「風の谷のナウシカ」は1983年に公開された宮崎駿監督による劇場用アニメーション作品である。
今回は「風の谷のナウシカ」の登場人物と声優を振り返りながら、それぞれの魅力や物語について考えていこうと思う。「風の谷のナウシカ」の登場人物はどんな人々だったのだろうか?
以下の文章では不意にネタバレが挟まれますので、その点はご注意ください。
「風の谷のナウシカ」の主要登場人物&声優一覧
名前 | 年齢 | 声優 |
---|---|---|
![]() ナウシカ | 16歳 | 島本須美 |
![]() アスベル | 16歳 | 松田洋治 |
![]() クシャナ | 25歳 | 榊原良子 |
![]() ユパ様(ユパ・ミラルダ) | 45歳 | 納谷悟朗 |
![]() ミト | 40歳 | 永井一郎 |
![]() ゴル | ? | 宮内幸平 |
![]() ギックリ | ? | 八奈見乗児 |
![]() 大ババ | 100歳以上 | 京田尚子 |
![]() クロトワ | 27歳 | 家弓家正 |
登場人物&声優の基本情報とキャラクター考察
ナウシカ|声優:島本須美

ナウシカの基本情報
物語の主人公、年齢16歳。腐海の瘴気(しょうき)を海からの風を用いて防いでいる「風の谷」の長 ジルの娘。病床にあるジルのかわりに実質的な長として活動し、「風の谷」の人々から慕われている。
「腐海」という脅威と共に生きることを余儀なくされ、人々が必然的に「腐海」を忌避する状況のなか、ナウシカはその「腐海」にむしろ自発的に近づくように生きる。
「腐海」がある世界で子供を得るということ
物語の序盤では、そのナウシカの性質は「ナウシカ生来のもの」という形で了解されるが、物語の後半、彼女の薄暗い過去が明かされることによって、彼女の行動、興味にある種の必然が見えてくる。
「腐海」とともに生きるものは、その毒素である「瘴気」に否応なしに毒されて生きることになるが、その「毒」が最も顕著に現れるのはその世界で生き延びた大人ではなく、新たに生まれいでた子どもたちであった。
漫画版の「風の谷のナウシカ」を読むとわかるのだが、ナウシカの兄弟もその例にもれず、その全てが「母が蓄積してしまった瘴気(毒)」の影響で命を落としてしまった。
最期に生まれた(あるいは生き延びた)ナウシカにそれを気に病む必然性などないのだが、自らが産んだ子どもたちの死を何度も経験してきたナウシカの母は、生きているナウシカを愛するよりも、死んでいった子どもたちのために喪に服するように生きたようだ。ナウシカ本人の内面の真実としては「母は私を愛さなかった」となる(これも漫画版の「風の谷のナウシカ」で語られたこと)。
ここは少し考える必要がある。乳幼児が命を落とすということは、別に「瘴気」だけが原因ではない。
日本においても、大昔の「平均寿命」はとんでもなく低いが、その原因は幼児がなくなっていることに起因する。つまり栄養状況が悪いせいで平均寿命が低くなっている。ゼロが増えれば平均はいくらでも下がるのである。
「風の谷」でもそのような「栄養不足」が原因で子供がなくなってる可能性は極めて高い。
劇中きちんと畑作が行われているシーンが描かれており、あの瞬間の「風の谷」の人々が暮らすには十分な収穫はあったかもしれない。しかし、あれ以上に人口が増えたときに何が起こるかはわからない。
乳幼児が命を落とすということは、短絡的に理解できることではないと思う。
ただ、ナウシカ本人は「自分のせい」と思ってしまったし、母は「ナウシカだけに愛情を注いではならない」と考えてしまったということなのだろう。
漫画版が前提となってしまうが、「風の谷のナウシカ」という映画は、そういったナウシカがくらった幼少期の楔が根本的な推進力となっていると考えることができる。
また、そうしたナウシカの状況を逆手にとると、ナウシカが「腐海」という場所に思いを馳せた理由がわかる。彼女にとって「腐海」とは「否定される存在」という意味において自分と同じだったということになる。
そんなナウシカが、腐海が大地を浄化しているという事実を知ったときの喜びはいかほどのものだっただろう。
声優の島本須美さん
声を担当したのは声優の島本須美さん。「ルパン三世 カリオストロの城」のクラリスの声も島本さんが担当している。また、TVアニメでは「めぞん一刻」の音無響子、「それいけ!アンパンマン」のしょくぱんまん などを担当している。
ナウシカは主人公にして姫君で、そのくせ薄暗い過去を抱えており、それでも前を向いて突き進むという面倒な役柄である。
少々序盤のナウシカの声が明るすぎるように感じることはあるのだが、それも内面に抱えた薄暗いものの反動、あるいはそれを隠すためと考えればむしろ自然なのかもしれない。
アスベル|声優:松田洋治

アスベルの基本情報
工業都市ペジテの少年、年齢は16歳。自らの故郷であるペジテの地下で「巨神兵」の胚(はい)が発見されたことによって彼の人生は大きく変わってしまう。「巨神兵」を我が物にしようとする軍事国家トルメキアによって彼の故郷ペジテは蹂躙された挙げ句、双子の妹ラステルが人質してトルメキアによって捉えられてしまった。
どうやら彼はトルメキアの占領下にあるペジテから逃げ出し、トルメキアへの復讐の機会を探っていた。
結果として、彼はナウシカを護送するトルメキアの輸送船を「腐海」の上空で急襲、ナウシカと出会うばかりか「腐海」の真実にたどり着く。
「風の谷のナウシカ」の本編中、彼は「腐海の真実」を知ることとなったわずかふたりの人間の一人である。
復讐鬼から人間へ
そんなアスベルの初登場時はまさに悪鬼、復讐鬼であった。ガンシップを駆る彼の目は怒りに満ちていたのである。
しかしそんな彼も、ナウシカによってその生命を救われ、「腐海の真実」を知ることのよって安定を取り戻す。
そしてそれは、物語の序盤で登場した王蟲が安定化したことと同じことなのだろう。ナウシカに関わってしまったものは、その怒りを収めることができてしまうのである。
ペジテと風の谷
トルメキアという「災厄」に見舞われたという事実はペジテやアスベルにとって大きな不幸ではあったが、結果的にアスベルがナウシカに出会ったことはペジテと「風の谷」両陣営にとってよかったことと言える。というのも、ペジテと「風の谷」の良好な関係が築かれたことがエンドロールの背景のアニメーションを見ることによってわかる。
ただ、だからといって何も安心することはできない。なぜならトルメキアがいる。トルメキアという脅威がある限り、「風の谷」とペジテが良好な関係を築いたところでなんの意味もない。一夜にして蹂躙されてしまう。
しかしそこにも僅かな安心材料がある。もちろんそれはクシャナの存在。
クシャナは「巨神兵」を回収するために「風の谷」に来ておきながら、その内面にあった「クーデター」の実現を画策していた。おそらくトルメキアはクシャナがなんとかしてくれたのだろう。そうでなければ「風の谷のナウシカ」のエンディングはあまりにも空虚になってしまう。
声優の松田洋治さん
声を担当したのは俳優の松田洋治さん。アニメーションの声優としては「もののけ姫」のアシタカ、「時をかける少女」の高瀬宗次郎、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」のマーシャル・マクラクラン(アンドロイドに恋しちゃった人)などを担当している。
宮崎監督が「もののけ姫」の主人公 アシタカに松田さんを起用した理由として「崩れた少年をできる役者は多いが凛とした少年をできるのはこの人しかいない」ということを上げている。その印象は「風の谷のナウシカ」におけるアスベル役で得たものかもしれない。
クシャナ|声優:榊原良子

クシャナの基本情報
軍事国家トルメキア帝国の皇女、年齢は25歳。彼女が率いるトルメキア軍が「風の谷」にやってきたことから物語が展開する。クシャナが「風の谷」に来た名目は、谷に墜落した自国の輸送機に積んであった「巨神兵」を回収することだった。
しかしクシャナの真の目的は、強大な力を誇る「巨神兵」の力を我がものとし、トルメキアに反旗を翻すことだった。
ただ、一国、しかも強力な軍事国家であるトルメキアを相手に戦いを挑むにあたり「巨神兵」だけでは少々心もとない気もする。世界を焼き尽くした存在が一体でもいればなんとかなるという楽観があったのかもしれないが、どうもそれは「風の谷のナウシカ」本編で感じるクシャナの人物像とかけ離れているような気がする。
ということは、本編が始まるまでにクシャナは軍事的な準備を着々と進めており、「きっかけ」や「きめて」を探す段階まで来ていたと考えるべきだろう。
結局「巨神兵」は王蟲を排除するために使われた上に、その力を全く発揮することなく終わってしまった。しかし、結局「王蟲事件」はクシャナに「きっかけ」を与えたのではないだろうか。
自分の配下のものに「先鋒に立って戦う」という勇猛果敢な姿を見せる事もできた。
となると、「風の谷のナウシカ」本編終了後、クシャナは長年画策していたクーデターを実現したのではないだろうか。
その結果がどうなったかは映画を見る限りはわからない。ただ、何故か成功してほしいと願ってしまう。
声優の榊原良子さん
声を担当したのは声優の榊原良子さん。個人的には「機動警察パトレイバー」シリーズの南雲しのぶ役の印象が極めて強い。この人の声を聞くといつも「あっ。南雲さんだ」と心の中で呟いている。また、有名なところでは「機動戦士ガンダムZ」、「機動戦士ガンダムZZ」のハマーン・カーン、「スペースコブラ」のレディ、「キャッツアイ」の浅谷光子の声も担当している。
榊原さんの声の魅力はなんといってもその説得力だろう。クシャナにしろ南雲しのぶにしろ、強烈な統率力とカリスマ性があることが一撃でわかってしまう。
クシャナの声は榊原さんをおいて他にいないだろう。
ユパ様(ユパ・ミラルダ)|声優:納谷悟朗

ユパ様(ユパ・ミラルダ)の基本情報
世界中を旅しながら「腐海の秘密」を解き明かそうとしている人物。ナウシカからは「先生」とよばれ、「風の谷」長 ジルとも親交が深い。
また、優れた剣士でもあり、本編中では「腐海辺境一の剣士」と称されていた。そんな彼の剣士として姿がほんの少ししか描かれなかったことは残念でならない。
ユパが「辺境一の剣士」と称されるまでに、彼は様々な伝説的な戦いを突破してきたことになる。よく、漫画版の「風の谷のナウシカ」をアニメ化してほしいという声を聞くが、私の個人的な欲望としては、そういうユパの伝説をこそ映像化してほしいと思ってしまう。
さぞ胸躍る冒険活劇になることだろう。
声優の納谷悟朗さん
声を担当したのは声優の納谷悟朗(なやごろう)さん。納谷さんといえば「ルパン三世シリーズ」の銭形警部の初代声優として有名だろう。とても特徴的な声だと思うのだが、ユパ様の声が納谷さんであることは言われるまでまったく気が付かなかった。
ミト|声優:永井一郎

ミトの基本情報
風の谷の城で働く「城オジ」のリーダー。年齢は40歳(何という貫禄!)。おそらくジルが病気で動けないこともあり、「ナウシカを自分が支えなければならない」という強い思いを持って行動している人物。
結局物語の最初から最後まで登場し、ナウシカをサポートし続けた。物語の影の立役者と言えるだろう。
声優の永井一郎さん
声を担当したのは永井一郎さん(1931年 – 2014年)。
「機動戦士ガンダム」のナレーション、「うる星やつら」の錯乱坊、「ゲゲゲの鬼太郎」の子泣きじじい、「YAWARA」の猪熊滋悟郎、「らんま1/2」の稗田八方斎、「HUNTER×HUNTER」のネテロ会長などなどなどなど、多くの声を永井さんは担当してきた。あの声をもう聞くことができないと思うと、とても残念である。
ジブリ作品としては「天空の城ラピュタ」のモウロ将軍も担当している。彼のは極めて野心的な上に直情的で、永井さん声の持つ暖かさがなければちょっと見ていられないキャラクターとなったかもしれない。
ゴル|声優:宮内幸平

ゴルの基本情報
城オジの一人。同じ城オジのギックリと共に我々をほっこりさせてくれた人物。ナウシカの過去回想シーンで若く凛々しい姿が一瞬見える(ような気がする)が、ゴルも幼いナウシカにとっては怖い存在であったということなのだろう。
声優の宮内幸平さん
声を担当したのは、声優の宮内幸平さん(1929年-1995年)。最も有名なのは「ドラゴンボール」の亀仙人の声だろう。私達はずっと宮内さんの声を聞いて育ったのである。
亀仙人以外にも、「アルプスの少女ハイジ」のアルムおんじ、「一休さん」の外観和尚も宮内さんによるものである。
ギックリ|声優:八奈見乗児

ギックリの基本情報
城オジの一人。常にゴルと共に登場し、彼と同様に私達をホッコリさせてくれた。ゴルと同様、若かりし頃には、ジルの近くで凛々しい姿を見せていたものと思われる。
声優の八奈見乗児さん
声を担当したのは声優の八奈見乗児さん(1931年-2021年)。「巨人の星」の伴宙太、「タイムボカン」のグロッキー、「ヤッターマン」のボヤッキー、「マジンガーZ」の弓教授など、多くの重要人物の声を担当している。
ただ、個人的な思い出としては「ドラゴンボール」のナレーションの声が思い出に残っている。あれは八奈見さんの声だったのである。
大ババ|声優:京田尚子

大ババの基本情報
「風の谷」に住まう長老。どうやら100歳を超えているらしい。
ナウシカの兄弟が母の毒を受け継いで次々と亡くなったという事実(これは漫画版の設定による)を鑑みると、大ババ様も色々な奇跡の集合として丈夫な体を得たということになるのだろう。
おそらくそれは「風の谷」やあの世界で生きるほとんどの人がそうで、過酷な環境である反面、その状況で成人したという事実がその人の体の強靭さを証明することになる。ただ、結局は腐海の瘴気があるので、強靭な肉体を持ってしてもジルのような病気に倒れることになっているのだと思う。
ただ、その瘴気さえも乗り越えた大ババ様がいかにとんでもないのかが分かる。大ババ様が語った「蒼き衣の人」なんか目じゃないくらいの奇跡を起こしている。
声優の京田尚子さん
声を担当したのは声優の京田尚子さん。見事なまでに「大ババ」を演じきっていたと思うが、なんと「それいけ!アンパンマン」のおむすびまんの声も担当している。声優の仕事の幅というのはすごいものである。
クロトワ|声優:家弓家正

クロトワの基本情報
クシャナの参謀、年齢は27歳!常に深刻なクシャナとは対象的に、何やら飄々とした雰囲気を持った人物。
それでもクシャナが腐海上空で消息をたったとの連絡を受けると少々の野心をのぞかせてもいた。
非常に深刻な状況が続く物語の中で、彼の登場シーンではなぜかホッとできるようになっている。そういう意味ではテトと同じような役割を持った人物とも言えるかもしれない。
声優の家弓家正さん
声を担当したのは声優の家弓家正(かゆみまさいえ)さん(1933年10月31日-2014年9月30日)。アニメーションの声優としては「未来少年コナン」のレプカ、「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」のお父様役を演じている。
海外作品の吹き替えも多数担当しており、有名な俳優では「ドナルド・サザーランド」、「フランク・シナトラ」、「ロイ・シャイダー」の吹き替えは家弓さんによるものが多い。
ジル|声優:辻村真人
ジルの基本情報
「風の谷」の族長でナウシカの父。年齢は50歳。すでに病に侵され、彼の権勢がいかなるものだったのかを具体的に知ることはできないが、劇中の「風の谷」が安定的した状況にあったことそのものが、ジルが「正しい」政治を行なっていたことの証左である。
結果的にナウシカの幼少期の「消えない記憶」を植え付けてしまったが、蟲を排除したジルの判断を否定することなどできないだろう。
声優の辻村真人さん
声を担当したのは声優の辻村真人さん(1930年-2018年)。有名所では「忍たま乱太郎」の学園長の声を担当しているが、個人的に思い出に残っているのは「機動警察パトレイバー」の実山さんの声である。
その他の登場人物と声優一覧
- ニガ(戦車を操縦していた城おじ)|声優:矢田稔
- ラステル|声優:冨永みーな
- ペジテ市長|声優:寺田誠
- ラステルの母|声優:坪井章子
- テト|声優:吉田理保子
- ペジテの少女|声優:太田貴子
- 少年|声優:坂本千夏、TARAKO、鮎原久子
- 少女|声優:菅谷政子、貴家堂子、吉田理保子
- コマンド|声優:水鳥鐵夫
- トルメキア兵|野村信次、大塚芳忠
- ペジテ市民|声優:中村武己、島田敏

この記事で使用した画像は「スタジオジブリ作品静止画」の画像です。
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